木下 晃伸さんのブログ

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【投資脳*海外株】9年来の1けた成長、北京1~9月GDP

■みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
経済アナリスト、木下晃伸(きのした・てるのぶ)です。

■24日のアジア株式相場は軒並み暴落しています。
日経平均株価は800円を超える下落を見せ、7,000円台に突入し、
インドのSENSEXは前日比11.0%安い8701.07で引けました。
今年1月に付けた最高値に比べると6割近く安い水準。

その他各国も同様です。
韓国総合指数は10.6%下落し、2005年5月以来の安値。
シンガポールST指数、香港ハンセン指数はいずれも8.3%安。

■壊滅的な下落が一体何を意味しているのか。
世界の株式市場が上昇基調となり、安堵の空気が流れた10月20日(月)、
以下のコメントを寄稿しました。

***************
金融恐慌によって、株価はなぜ大きく下落したのか。
それは、かつて94年メキシコ、98年アジアで見られたような
“新興国の倒産”というコンフィデンス・クライシス(信認の危機)
によるものである。
実際、新興国の債券を扱う米国ETF
「iShares JPMorgan USD Emer Mkt Bnd Fd ETF (Public, NYSE:EMB)」では、
7月より100を切り、9月に入った後は急速に価格を下げている。

※iShares JPMorgan USD Emer Mkt Bnd Fd ETF (Public, NYSE:EMB)
http://finance.google.com/finance?q=NYSE%3AEMB

“国が倒産しなければ100で戻る”わけだから、
どれほど投資家が新興国に対して不安を抱いているか分かるだろう。(中略)
今は過度の悲観に世界中が覆われている。
そのため、今が株式市場の底であると断言することは難しい。
しかし、世界恐慌の安定化に向けて着実に動き出していることも事実。
弱気になる必要はない。
***************

■新興国に対する信認がなくなってしまっている以上、
現金化を急ぐ投資家が登場しても仕方がないと言えます。
それは、否定されることではありません。

では、長年保有しようと考えていた投資対象まで、
我先に現金化する必要はあるのか。その必要はないと考えています。

ただ、これほどの下落を見せられると、意気消沈してしまうのも事実。
少しでも気を晴らすためには、知識を吸収し、学ぶしかないと考えています。



※本資料の利用については、必ずプロフィール画面の
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●【中国】9年来の1けた成長、北京1~9月GDP[経済]
●【香港】李嘉誠のハチソン、全世界の投資凍結[経済]
●【韓国】現代自Q3営業益71%減、労使交渉の長期化で[車両]

※ニュース提供/NNA(http://www.nna.jp/
著者により一部文章が削除、変更されるケースがございます。

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●【中国】9年来の1けた成長、北京1~9月GDP[経済]

北京市統計局は22日、今年1~9月の同市の域内総生産(GDP)が
7,586億3,000万元(約10兆8,400億円)に達し、
昨年同期比で9.1%増加したと発表した。
外需の減少や不動産市場の低迷、またインフラ整備など
“五輪特需”の収束を受けて、過去9年で初の1けた台となった。

伸び幅は昨年同期を3.5ポイント、先に発表された全国平均を0.8ポイント
それぞれ下回った。

同局の于秀琴・副局長は減速の背景について、
不動産市場の低迷を指摘している。
9月に同市の不動産価格は前月比で0.2%減と、2005年以来の下落に転じており、
価格の下落はまだ続くとの見方も強い。
当局がこのほど発表した市場へのてこ入れ策が、
北京市場にどこまで影響するかも注目される。

このほか、北京五輪の閉幕を受けインフラ整備が落ち着いたことで、
これまで全体をけん引していた固定資産投資が7.8%減の
2,272億6,000万元と伸び悩んだ。
特に第3四半期(7~9月)は昨年同期比37%の減少となっている。
また1~9月の工業生産額(付加価値ベース、一定規模以上の企業対象)も、
五輪前後に実施された生産制限を受け、
1,607億8,000万元と4.8%の微増にとどまった。
特に第3四半期は昨年同期比3.3%減となっている。<北京>

【木下コメント】
GDPが9%の成長を見せても、
過去の成長率に比べて低いことに懸念が出てしまうことに、
いかに中国が高い成長を期待されているかが逆説的ではあるが分かる。

しかし、考えてみたい。
中国のGDPが9%成長する、ということは、現在の340兆円に対して、
毎年30兆円以上の経済規模が生まれることになる。
30兆円と言えば、タイやマレーシアが一国生まれるだけの規模だ。

また、物価上昇を考慮すれば、さらに名目のGDPは伸びる。
一方の中国の時価総額は、下落の一途だ。
とうとう中国と香港すべてを足し合わせても、下回るほどになってきた。

新興国に対する信認が欠けているいま、
市場は制御不能に陥りギャンブル性が増している。
無理をする必要はない。
しかし、すでに保有している株式を無理に現金化する必要もない。
今後投資が可能な現金を積み、学びながら信認が回復に向かう予兆を待つだけだ。


●【香港】李嘉誠のハチソン、全世界の投資凍結[経済]

香港一の富豪、長江実業の李嘉誠会長率いるコングロマリット、
ハチソン・ワンポアは来年半ばまで、
全世界でのすべての業務で新たな投資を凍結する。
ハチソンの財務担当董事、陸法蘭氏が投資戦略としてこのほど語ったと
米シティグループが明らかにした。

世界的な金融危機に対応して、
香港の多国籍企業も極めて慎重な姿勢へと転じるようだ。

24日付明報によると、来年6月末までは、既に契約済みの投資案件や
未契約だが事業が承認された案件について投資を実行しない考え。
ハチソンは「グローバル経済の環境変化で投資リスクが高まったため」
と説明している。

同社は港湾運営世界最大手であるほか、小売り、携帯キャリア事業、電力、
不動産、ホテルなど多岐にわたる事業を展開。
世界57カ国・地域で、従業員22万人以上を抱える。
香港でも3万人を雇う最大雇用主。
全世界のすべての業務でこうした投資凍結に該当する案件は、
金額ベースで100億HKドル(約1,250億円)に上るという。<香港>

【木下コメント】
サブプライムローン問題に対して、
極めて悲観的な意見を当初から語っていたのが李嘉誠。
その李嘉誠が、新たな投資を凍結する、というのは、
経営者としての投資行動は適切だと思う。

すでに投資した案件はそのままに、新しいことはストップ、ということは、
私たちが株式市場に向かうときの姿勢に近いものがある。

100年に一度の事態が回復するには、
とにかくマネーに対する信認が戻らないことには始まらない。
それを待って攻める、という考えが、現時点では一番妥当と考える。


●【韓国】現代自Q3営業益71%減、労使交渉の長期化で[車両]

現代自動車の第3四半期(7~9月)の営業利益は
1,045億ウォン(約72億5,000万円)で、前年同期比70.7%急減した。
減少幅は証券各社の平均予想(65.2%減)を上回っており、
労使の賃金交渉の長期化で工場の稼働率が低下したことや
世界的な需要の減少が影響している。
一方、国内販売は工場の正常稼働とともに今月に入り回復傾向にあり、
第4四半期(10~12月)には不振を挽回(ばんかい)できる見込みだ。

地域別では、中国は31.5%増の21万9,000台を販売。
今年4月の第2工場稼働や現地向けモデル「悦動」
(中国向け「アバンテ」)の好調などが販売増につながった。
インドは47.2%増、東欧やアジア、中東、中南米など新興市場は35.6%増加した。


■業績回復の兆し

労使交渉の妥結で工場稼働が正常化したことで、
第4四半期は、販売が急速に回復する見通しだ。
今月1~20日の国内販売は2万5,496台で前年同期比57.6%急増した。

同社は、今年のグローバル販売は年初目標より9万台少ない302万台と予測。
売り上げは目標(33兆ウォン)の達成が可能と見ている。
聯合ニュースなどが伝えた。

【木下コメント】
世界的に花形産業であるはずの自動車セクターが苦境に立たされている。
特に、北米のみならず、新興国においても
需要が急減していることに危機感が強まっている。

その中で、現代自動車は業績を伸ばしてきていた。
短期的には労使交渉の問題が業績を抑えているものの、
会社側が発表しているように第4Qに回復するとしたら、
これは世界的に見ても驚異的なことだ。

もちろん、韓国ウォン安など、韓国企業に投資を行うことは、
国が倒れるというほどまでではないものの、積極的に手掛けづらい。
しかし、異常事態から少しでも回復する時、
現代自動車のグローバル戦略には注目が集まることになると考える。


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 編集後記
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●ノックダウン

10月の相場は、FXなどの短期トレーディングから、
ファンダメンタルズに着目した投資家でも、
かなり精神的に痛めつけられている月となりました。
これだけボラティリティ(変動性)がありながら下落、
さらにそれが世界同時多発で起こることは、今まで誰も経験したことがないこと。

でもここで思考停止するわけにはいきません。
ノックダウンされるわけにはいかないのです。

レベル、スピード、ボリューム、すべてにおいて小さかったと言えますが、
直近のITバブル崩壊も、同様のケースと言えます。

あのときも同様、とにかくあらゆることに間違いが起こり、
「なぜ」を検証することで半年が過ぎました。
しかし、徹底的に問題点を洗い出し、
その後の回復をとることができた経験を持っています。

いまは、「なぜ」を求めている時期。そして、問題点も判明してきた。
あとは「何が」起これば回復するのか、答えを見つけるべく、
さまざまな切り口から分析していきたいと考えています。
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