リンナイ 小杉 將夫常務インタビュー

投稿:2015/11/30 11:05

世界でブランド浸透

100周年に向け飛躍へ

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リンナイ 現状と今後の展望 小杉 將夫常務に聞く

 総合熱エネルギー機器メーカーであるリンナイ(5947・東証1部)は、世界中の国々に環境・省エネ視点で、最適な熱機器を提供している。特にガス機器分野では、国内シェアトップ企業として業界をリードしている。また、海外においても、アジアを中心に、米州、豪州など世界16ヵ国で事業を展開。ガス瞬間型給湯器を代表に「Rinnai」ブランドは世界市場に浸透している。2020年に100周年を向かえるリンナイ。このほど、発表した9月中間の連結業績では、売上高、営業利益、経常利益、純利益とも過去最高を計上するなど、安定成長を継続し、増収増益基調に変化なしだ。取締役常務執行役員・小杉將夫氏に現状と今後の展望を聞いた。

――足もとの状況を教えてください

 「4~9月の第2四半期では、売上高1494億4000万円(前年同期比9.3%増)、営業利益152億8500万円(同16.1%増)、経常利益161億2700万円(同13.1%増)、純利益99億3600万円(同14.1%増)と上期としては過去最高の業績で着地した」
photo2 「差別化を図るために他社には無い高機能品や上位機種など、ハイグレード製品の投入が好業績につながっている。給湯暖房機を含め、給湯分野全体が回復基調にあり、ハイブリッド給湯・暖房システム『ECO ONE(エコワン)』に代表されるような高機能商品が安定した成長を続けている。厨房分野においても、システムキッチン需要の増加に伴い、ビルトインコンロの販売が加速。特に、グリル庫内で使用する専用容器『ココット』同梱タイプのビルトインコンロ『DELICIA(デリシア)』=写真=など、上位グレードが拡大。また、ほかに好調である製品としてはPM2.5や黄砂対策として、浴室暖房乾燥機やガス衣類乾燥機なども人気を集めた。製造工程を見直した20%のコスト削減も業績拡大に大きく寄与した」

売り上げ、利益ともに過去最高
海外の好調持続と国内需要の回復

――海外については

photo3 「4~9月の第2四半期ベースだが海外売上高は2005年の同時期の299億円から10年で727億円に成長している。中国ではガス瞬間式給湯器とボイラーが好調に推移するなど、前年同月比で2ケタ成長を続ける。都市部においては生活水準の向上によって、より高機能・大容量タイプへシフトし、内陸部には天然ガスの普及とともに、これから、ガス器具の需要はますます拡大していくだろう。上海における当社シェアはおよそ37%だが、中国全土ではまだ4%程度。拡大余地は十二分ある。ブランド強化を狙ったテレビ広告を積極的に行い、製造設備の増強については、2つ目の大型拠点の上海新工場が12月から段階的稼働する」
 「また、移民を含めて人口が増加する豪州でも、住宅需要に支えられ、タンクレス・貯湯式給湯器が好調であり、買収したBrivis社による業容拡大も寄与。米国においても住宅着工件数、中古住宅市場の拡大で高効率タイプのガスタンクレス給湯器が伸びている。韓国、インドネシア、ミャンマー、カンボジア、ラオス、中東、アフリカ、欧州などにも給湯商品を投入し市場拡大を図っていく」

――中期計画について

 「今期は、2017年を最終年度とする中期経営計画『進化と継承 2017』に向けて最高のスタートが切れた。今3月期は、売上高3180億円(前期比7.8%増)、営業利益340億円(同10.4%増)となる見込みだが、これを2017年には、それぞれ3500億円、390億円に高めたいと考えている。国内は安定的な成長、拡大のけん引役は中国を中心とする海外が担い、売上高海外比率は現状の4割強から5割近くまで拡大するだろう」
 「当社は2020年に創業100年を迎える。次の100年を目指し、今後も成長を続けていきたい。また、当社の成長はもちろんのこと、株主還元についても、毎期増配(今期は6円増配の年82円配当の予定)を続けるなど、積極的に行っていきたい」

●記者の目

株主への還元も積極的で、業績の拡大とともに毎期増配を続けるリンナイ。業績は好調であり、堅調な国内需要と海外での伸長の両方が期待できる。
 今期見込みの業績も上振れ余地が十分であり、第3四半期が発表となる2月ごろには、上方修正も期待できそう。引き続き、注目していきたい企業の1つだ。

配信元: みんかぶ株式コラム