日本トリム 森澤紳勝社長インタビュー

投稿:2015/02/03 10:45

電解水素水 花開く

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日本トリム(東証1部・6788) 森澤 紳勝社長に聞く

 電解水素水整水器のトップメーカーである日本トリム(6788)は、さまざまな研究成果を通じて健康への訴求を行っており、これらの取り組みが家庭用整水器の販売増のみならず医療や農業分野でも花を開こうとしている。海外での事業展開など、電解水素水で業績拡大を続ける同社の現状と今後の動向について森澤紳勝社長に聞いた。
 

医療、農業分野で活躍へ

業績変貌期入りで期待高まる

――2011年3月期に16億700万円だった連結営業利益は前14年3月期に31億1400万円を計上しており、この数年間で業績は大きく拡大しました。その背景について教えてください

 「11年3月に東日本大震災が発生した当時、多くの被災者は住居や食料に加えて水の確保に苦労されました。水道が整備された日本では、それまで、どこででも綺麗な水が確保できる、という感覚があったと思いますが、この震災を契機に水に対する国民の考え方が大きく変わり、水を買う習慣ができました」

――震災発生当時、御社の整水器を使用した場合の放射性物質の除去に関するデータが話題になりました

 「放射性物質が除去されるデータを取得し、これが一般紙で取り上げられ整水器の評価を高めて頂く要因になりましたが、このデータをアピールして販売することは行っておりません。国民の水に対する意識が変化するなかで、より性能が向上した整水器の提供に努めてきました。また、現在では水素水がブームになっていることも追い風になっています」

健康への有用性広く認知

海外展開、取り組み強化へ

――水素水については、健康への有用性が消費者に認知されてきていますね

 「水に電流を流すことで、陰極側に、アルカリ性で水素を多く含む電解水素水が生成されますが、この水素には、様々な疾病の原因といわれる活性酸素を抑制する抗酸化(還元)性があります。水素水の作用を医療や農業分野へ活用する取り組みも進めています」

――これまでの研究が実を結び、事業化に向けた取り組みを着々と進めていますね

photo2 「医療では電解水透析、農業では還元野菜といった電解水素水をベースとした事業に取り組んでいます。水素が含まれた透析液を使用することで、患者の酸化ストレスや炎症を抑え、血圧の安定化や副作用の軽減、薬の量を減らす効果が期待されており、欧州最大級の医療機関であるカロリンスカ医科大学などと臨床共同研究を進めています。電解水透析を導入している医療機関は既に14施設になり、今後も着実に広がっていきます。また、還元野菜は電解水素水を使って育てることにより、収穫増による生産効率の向上や抗酸化成分の多い、付加価値の高い機能性野菜を栽培しています。高知県や高知大学、JA南国市との共同研究などを通して、今後、農業分野が大きな柱になると期待しています」

――医療分野では子会社を通じて遺伝子検査関連事業なども手掛けていますね

 「遺伝子関連事業を行うトリムジン・ホールディングスは将来的には株式上場を目指して業績拡大に取り組んでおります。また、13年に子会社化した国内最大のさい帯血バンクであるステムセル研究所も業績は順調に拡大しています。さい帯血は現在、白血病治療に使われていますが、日本でのさい帯血保管比率は海外に比べてかなり低い水準にあるのが現状です。今後、再生医療への活用を含めて成長を期待しています」

――足もとの業績について教えてください

 「今15年3月期については、営業利益で前期比24.5%減の23億5000万円を見込んでおりますが、これは、前期に大きな受注で業績が拡大したトリムジン・ホールディングスの反動減などによるもので一時的な要因です。整水器については、大手電機メーカー向けのOEM供給なども順調に推移しています。インドネシアの現地企業と連携して電解水素水のボトル販売も本格化するなど海外展開の取り組みも強化しており、今後、これらが寄与してきます」

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電解水素水の農業用整水器(左)と電解水素水を利用して栽培された苺

●記者の目

 全国健康保険協会(協会けんぽ)が提供する「事業所健康度診断」のデータでは、電解水素水を常飲している日本トリム社員の月平均医療費が、年齢差を考慮しても全国平均に比べ大幅に低いことも明らかになっており、健康への有用性への評価が高まっている。
 医療と農業分野も今後は開花期を迎えることから、来期以降の業績拡大が期待できそうだ。

配信元: みんかぶ株式コラム