【Alox分析】アラーム分析ランキング -2019年2月~2020年1月-

著者:塙 大輔
投稿:2020/10/05 19:40

【アラーム分析ランキング】
例年通り、有価証券報告書に記載された財務諸表をアラーム管理システムにて分析した結果を公表致します。

【『格付速報』を知っていますか?】
13年前、『会社四季報』『日経会社情報』とは違うジャンルの“上場企業の分析情報”を提供するという意気込みで、日本証券新聞社のご協力頂き、『格付速報』が出版されていました。

2004年から2006年12月までの販売ではあったが、一部の投資家や企業審査の方には評判となり、今でも再開を期待する根強いファンがいます。

とにかく辛口な分析が評判でした。
当時は、「何でこんなに点数が低いんだ!」、「競合のA社より点数が低いのは何でなんだ!」
「あと1点で100点となるが、どうすれば点数が上がるのか?」などの多数のお問い合わせやご意見を頂き、『格付速報』の担当者が苦労していたのをよく目にしました。

今回の分析結果は、『格付速報(2019年度版)-下位51社と100点企業特集-』と言っても差し支えない代物です。ご参照ください。

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<アラーム管理システムとは>
2期分以上の財務諸表(BS、PL、脚注)から、企業を100点満点で評価。
40点以下を「資金繰りの破綻リスクが高い」と評価する。
詳細については、下記URLをご参照ください。
 

 
http://alox.jp/sevices/alarm/

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【下位51社と100点企業】
 

 

 
下位51社と100点企業の全データは下記URLをご参照ください。

〔A4横2枚印刷用〕
http://alox.jp/dcms_media/other/200921ranking_yoko.pdf
〔A4縦1枚印刷用〕
http://alox.jp/dcms_media/other/200921ranking_tate.pdf
 

 
【評点分布の推移】
2020年配信 40点以下:216社 100点:17社
2019年配信 40点以下:180社 100点:12社
2018年配信 40点以下:184社 100点:10社
2017年配信 40点以下:177社 100点:11社
2016年配信 40点以下:169社 100点:8社

100点満点企業の数は微増であり、40点以下の企業は急増している。

【下位51社の傾向】
51社中、37社は赤字が常態化※している。
51社中、昨年もランクインしたのは、34社。
51社中、12社が創薬やバイオ系の企業。
昨年まで見ることがなかったような業種
(アパレル、学習塾、リゾートホテル、飲食店)がランクインした。

その他、業態変更、事業領域の拡大、内部統制の不備、
別会社の傘下入り、投資先行企業など、点数に見合った企業属性を
具備しており、これはいつも通りの傾向だ。


3期連続赤字の会社を「赤字の常態化」と定義。

【急落ベスト3】
前年の評点から急落した企業は、下記である。
 

 
【評点が急落した理由は?】
(株)鴨川グランドホテル
→ 売上は、2018年の40億円から、2019年の29億円に減少。
一方で借入金(長期+短期)は38億円から58億円と急増。
売上に貢献しない借入金が増えており、財務のバランスが悪化した。

(株)プロスペクト
→ 年商の2倍近い借入金、9億円から23億円に増加した長期貸付金。
経常収支が悪化(-69億円)している。

千代田化工建設(株)
→ 売上は、2018年の5100億円から、2019年の3400億円に減少。
2019年は592億円の債務超過となった。

【総括】
今年は、2件(レナウン、Nuts)の倒産が発生した。
また、倒産には該当しないが、6月30日には、東京証券取引所第1部に上場する群馬県の自動車部品製造、サンデンホールディングスが事業再生ADR※を申請している。

今回のランキングは、2020年1月までの決算に基づいたものである。
つまり、コロナ前のデータに基づく分析である。
コロナ後の決算を踏まえれば、評価の低い企業はさらに低くなる可能性は高い。
また、急落ベスト3の企業も、全く別物となるだろう。

現在、リーマンショック以上のインパクトのコロナ化であることを考慮すると、倒産は抑制されている。

銀行は、企業の資金繰りを支援する一方で、将来の倒産増を見越して、貸倒引当金を積み増している。

永遠に続く支援(セーフティネット)はない。
政府や各都道府県の財源も限りがある。

また、資金繰りに窮した企業は、融資元の金融機関に良い顔をするため、躊躇なく決算書を粉飾する。

表には出ないが、粉飾決算企業の数は、今がピークなのかもしれない。
それは、上場・非上場に関係ない。

リーマンショック後、今年以上に、決算書を精度高く分析しなければならない年はない。
2020年を年越しできない上場企業が2社のみで済めば、それは、僥倖である。


事業再生ADRとは
経営危機に至った企業が、民事再生法や会社更生法の申し立てによる
法的手続きに替え、中立な第三者機関であるADR事業者の手によって、
債権者・債務者間の話し合いをもとに自主的な整理手続きによって問題解決を図ること。
(参照資料:コトバンク『事業再生ADR』)


【データについて】
<データ件数>    3598社

<データ作成方法>
EDINETから入手した財務情報をアラーム管理システムにて分析して作成

<データ抽出条件>
(1)最新決算年月が2019年2月から2020年1月までのデータ
(2)連続した決算書は3期分以上
(3)連結と単独の決算が両方ある場合は、連結を優先
(4)アラームの分析対象外業種(銀行、生損保、証券)は除く

※ 毎年の掲載企業数が違うのは、同率ランクの企業数等の影響で、キリの良い数字の抽出が難しいためです。今年は、キリの良い数字ではありませんが、51社とさせて頂きました。
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配信元: みんかぶ株式コラム