米国決算の内容次第では上へ、そうでなければ下値固めへ

著者:出島 昇
投稿:2023/04/17 17:28

先週は、27500~28500円のレンジで、終始、買い気の強い地合いで28500円水準へ

先週の予測では、前週の4日(火)に28287円をつけて急落し、6日(木)に27427円まで下げて27518円で終わったことや、米国市場では重要な経済指標が控えていることで、内容によってはもう少し下値を試すこともあるため、目先は200日移動平均線(27370円水準)まで下げて再上昇となって28000円に向かう想定をしました。

しかし、結果は予想と逆に、経済指標が好調で米国景気の後退懸念が後退すると同時に円安が大きく進行(130円台→133円台)したことで、輸出関連株中心に買われ、さらに週末のSQに向けて断続的に先物も買われたことで、週前半に28000円を回復しました。

週始めの4月10日(月)は、前週末の米国の3月雇用統計で労働環境の底堅さが示されたことで、景気の減速懸念が後退し、△115円の27633円と続伸で始まりました。

11日(火)は、植田日銀総裁が就任会見で現状の金融緩和を「維持することが適当」と発言したことで、1ドル=133円台半ばまで円安が進み、輸出関連株が買われ、又、バフェット氏が日本株への追加投資を検討したと伝わると日経平均は一時△434円の28068円まで上昇し、終値は△289円の27923円でした。

12日(水)も円安・ドル高を受け買い先行となり、先物買いを交えて一時△198円の28121円まで上昇し、終値は△159円の28082円と4日続伸しました。13日(木)は、前日の米国市場は、NYダウが▲38ドルと5日ぶりに小反落し、3指標そろって下落したことで、売り先行で始まりましたが、翌日のSQに絡んで先物に断続的に買いが入ったことで、上げに転換し、△74円の28156円と5日続伸となりました。

週末14日(金)は、前日の米国株式は、3月生産者物価指数が鈍化を示したことで、FRBによる利上げ中止期待が高まり、米株主要3指標が大幅上昇となったことで、日経平均も△336円の28493円と6日続伸の大幅上昇となりました。3月9日(終値28623円)以来の水準となりました。しかし、4月限SQ28519円には1度もタッチせず「幻のSQ」で終わりました。

米国決算の内容次第では上へ、そうでなければ下値固めへ

3月16日の26632円の急落の時に、彼岸底として当面は、日本株は4月から5月にかけて上昇しやすいという経験則があり、今年は5月にG7広島サミットも予定されていることで、調整一巡後に切り返す可能性があるとしました。

4月4日(火)に28287円まで上昇後、急落して6日(木)に27427円まで下げたことで、いったん反発して28000円を試すにしても下値を確認したあとと想定したことで、想定レンジを27000~28000円とし、目先は200日移動平均線(27370円水準)を試したあと28000円に向かうとしました。ところが先週は下値を試すことなく終始、買い気の強い地合いとなり、28500円水準で引けました。

先週は、日経平均が1週間で約1000円の上昇幅となって、28500円水準のフシ目まで来ており、ここからさらに上にいくのか、いったん下値固めに入るのか注目するところとなります。この日経平均の動きを左右するのは、為替とNYダウの動きといえます。

米国では、先週末の金融の決算を皮切りに、今週は、ネットフリックスやテスラなどの決算発表や今後の見通しが発表されます。内容によっては日本株へのインパクトがあれば29000円に向かう動きも想定されますが、そうでなければ28000円水準での値固めとなります。目先は短期急騰となっているため、売り物をこなす場面も考えられます。

大きなレンジでは、26000~29000円のボックス相場となっており、当面は28000~29000円のレンジとなって、ここを突破すれば一段高となる可能性もあります。まずは、先週末の4月SQ値28519円で、ここを抜くと3月9日の28734円を目指すことになります。5月2~3日にFOMCを控え、日本は大型連休と決算発表の集中期間がありますので、まず4月下旬にどこまで戻せるかとなります。

(指標)日経平均

先週の動き

先週の予測では、27000~28000円のレンジの中で、まず下値を試してから28000円を目指すとしましたが、円安・ドル高や週末のSQに絡んだ先物買いによって28000円台をすぐに回復しました。

4月10日(月)は、米景気の減速懸念後退で買いが先行し、△115円の27633円と続伸。11日(火)は、植田日銀総裁の発言を受け円安が進行し、バフェット氏の日本株の追加投資報道で一時△434円の28068円まで上昇し、終値では△289円の27923円、12日(水)は、円安・ドル高を受け、先物買いを交えて△159円の28082円と4日続伸し、28000円台を回復。
13日(木)は、朝方は米株式の下落を受けて売り先行で始まるものの、先物に断続的に買いが入って△74円の28156円と5日続伸。週末の14日(金)は、前日の米株高を受け、先物主導で上昇し、△336円の28493円で引けました。SQ値28519円にはタッチせず「幻のSQ」となりました。

今週の見通し

先週は、終始、買い気の強い地合いでした。植田日銀総裁の発言やバフェット氏の日本株追加投資が相場の追い風になり、米経済指標に振り回される展開とはならなったため、28000円台を回復し、しっかりした動きでした。
今週は、28000円台での値固めができるか注目される中、米国の一足先の決算発表を受けて内容がよければ上値が期待できます。そのためには海外投資家の一段の買いが期待されます。
まず、4月SQ値28519円をぬくと3月9日の28734円、その上は29000円となります。

(指標)NYダウ

先週の動き

4月10日(月)は、前週末の米3月雇用統計が概ね強い結果になったことで、景気敏感株が上昇し、NYダウは△101ドルと3日続伸。11日(火)も前日に引き続き景気敏感株が上昇し、△98ドルと4日続伸、12日(水)は、注目の3月消費者物価指数の伸び率が市場予想を下回ったことが好感され、米株式は買い優勢となるものの、午後に発表されたFOMC議事録でリセッションの懸念が示されたことで、主要3指標がそろって下落し、NYダウも▲38ドルの33646ドルと5日ぶりに小反落。

13日(木)は、3月生産者物価指数が予想を下回ったことで、インフレ鈍化を示す結果となり、FRBによる利上げ打ち止め期待が高まり、主要3指標そろって大幅高。NYダウは△383ドル、ナスダックは△236Pと4日ぶりに大幅反発。週末14日(金)は、3月小売売上高が予想を上回り、景気悪化懸念や長期の金利引締め発言もあり、3指標そろって反落。為替はドル高・円安(+1.18円の113.75円)となったことで、シカゴ日経先物は△70円の28490円でした。

今週の見通し

今週は、金融関連の決算が注目となり、金融システム不安は後退しつつありますが、他の地銀の決算内容が予想を上振れた場合は、金融不安の回復につながるだけでなく、投資家心理も改善し相場の上昇をけん引することになります。また、FRBが次回のFOMCで金融政策を決定する上で参考にしているベージュブック(地区連銀経済報告)にも注目となります。最近では労働市場のひっ迫が緩和しはじめた兆候が見られているほか、最新のCPIやPPIの結果でインフレ鈍化を確認したことで、5月のFOMCで0.25%の利上げを実施後、利上げを停止し、年内にも利下げに転じることを市場は織り込み始めているようです。

また、18日には確定申告期限を迎え、税還付金が株式相場に新たに流入するとの期待感を受けた買いが下値を支えそうです。
経済指標では、3月住宅着工件数、週次新規失業保険申請件数、4月フィラデルフィア連銀景況指数、3月中古住宅販売、3月景気先行指数、4月製造業・サービス業PMIなどが予定されています。

(指標)ドル/円

先週の動き

先週末14日(金)のドル/円は、5月の追加利上げを想定して、ドル買いが強いまり、133.84円まで上昇して133.74円で引けました。
3月小売売上高が予想を下回り、ドル売り優勢となりましたが、その後、発表されたミシガン大学消費者信頼感指数や1年先の期待インフレ率が上昇し、追加利上げ観測が強まりました。5月のFOMCでの追加利上げを織り込むドル買いが加速しました。

今週の見通し

今週は、先週、発表された3月米消費者物価指数(CPI)や3月生産者物価指数(PPI)は市場予想を下回り、インフレの鈍化を示したことで、FRBによる利上げを弱める材料となっています。また、これから本格化する企業決算も注目され、3月にシリコンバレーバンクをはじめ複数の地銀が経営破たんに陥り、1-3月期は業績悪化が見込まれ、ドルの下押し要因になりやすいと思われます。

一方では、日本銀行は新体制発足後も現行の金融緩和政策を当面堅持する見通しを示し、日米金利差拡大が想定されることから、ドル買い・円売りとなりやすい。短期的にはポジション調整的なドル買い・円売りが増える可能性もありますが、ドル/円は下げ渋る展開となりそうです。予想レンジは131~133円を予想。

配信元: みんかぶ株式コラム