[資源・新興国通貨4/15~19のポイント&注目通貨] 米ドル堅調、対カナダドルで5カ月ぶり高値

著者:八代和也
投稿:2024/04/15 12:48

今週のポイント

先週はFRBの利下げ観測の後退によって米ドル高が全般的に進行しました。米ドル/カナダドルは約5カ月ぶりの高値をつけ、一方で豪ドル/米ドルは約2カ月ぶり、NZドル/米ドルは約5カ月ぶりの安値をつけました。

今週発表される米経済指標などによってFRBの利下げ観測が一段と後退する場合、米ドル高がさらに進みそうです。カナダとNZのCPI、豪州の雇用統計が市場予想よりも弱い結果なら、米ドル/カナダドルへの上昇圧力、豪ドル/米ドルとNZドル/米ドルへの下落圧力はさらに強まるかもしれません。

米ドル/円が約34年ぶりの高値水準にあります。一段と上昇する場合、本邦当局の対応が注目されます。仮に為替介入(米ドル売り・円買い介入)が実施されれば、米ドル/円がいったん下落して、それに豪ドル/円などのクロス円も引きずられそうです。

中東情勢には注意が必要かもしれません。リスクオフ(リスク回避)の動きが強まれば、米ドルや円が買われる可能性があります。

今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.08000NZドル~1.10000NZドル>

RBNZ(NZ中銀)は4月10日に政策会合を開き、政策金利を5.50%に据え置くことを決定しました。声明や議事録では、「景気抑制的な金融政策が引き続き必要だ」との認識が繰り返し示されるなど、RBNZが利下げに傾きつつあることは示されませんでした。RBNZの政策会合後、豪ドル/NZドルは軟調に推移しました。

今週は17日にNZの1-3月期CPI(消費者物価指数)が発表されます。CPIの市場予想は前年比4.0%と、上昇率は23年10-12月期の4.7%から鈍化するものの、RBNZのインフレ目標(1~3%。2%が中間値)を引き続き上回るとみられています。

市場では、RBNZは8月に利下げを行うとの観測があります(5月と7月の会合については、政策金利の据え置きを予想)。CPIが市場予想を上回る結果になれば、8月の利下げ観測が後退しそうです。その場合、NZドルが堅調に推移して豪ドル/NZドルには下押し圧力が加わると考えられます。

今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.36000カナダドル~1.39000カナダドル>

米ドル/カナダドルは12日に一時1.37826カナダドルへと上昇し、23年11月中旬以来およそ5カ月ぶりの高値をつけました。

足もとの米ドル/カナダドルの上昇は、FRBの利下げ観測の後退による全般的な米ドル高が大きいと考えられます。また、マックレムBOC(カナダ中銀)総裁が10日の政策会合後の会見で、6月の会合での利下げについて質問された際に「可能性はある」と述べたことも、米ドル/カナダドルの上昇要因になったとみられます。

FRBよりもBOCの方が早く利下げを行う可能性があることから、米ドル/カナダドルには引き続き上昇圧力が加わりやすい地合いになりそうです。カナダの3月CPI(消費者物価指数)が16日に発表されます。それがBOCの6月の利下げ観測を強めるような結果になれば、米ドル/カナダドルの上昇圧力はさらに強まる可能性があります。米ドル/カナダドルは、1.38942カナダドル(23/11/1高値)が上値メドです。

中東情勢には注意が必要です。リスクオフ(リスク回避)の動きが強まれば、米ドルが堅調に推移するとみられます。一方で原油価格上昇する場合にはカナダドルの支援材料になる可能性もあります。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想